VRChatで学会発表ワールドを製作した時の記録

この記事は VRChat Advent Calender 2019 の17日目の記事です。

はじめに

2019年12月14日に バーチャル学会2019 が開催されました。

私はこのバーチャル学会の運営としてポスター発表用会場のワールド製作を担当しました。

この記事では、私がVRChatでイベントで使用する会場製作がどのようにして行われてきたのかの経緯や、考えたこと、感想などを書き綴っていこうと思います。

ワールド製作担当になるまでの経緯

今回私がバーチャル学会の会場製作をすることになったのは、昨年2018年11月に開催したVRChat初(多分)のライトニングトーク会を主催したのをきっかけに、今回の学会を主催されたファルコさんに声をかけられたのがきっかけでした。

当時は私も学生で、軽いノリで「やってみるかー」という感じで引き受けたのですが、それから1年弱音沙汰のない状況が続きました。

事が動いたのは、今年の10月頃になってからで、そこから本格的にやろうという感じになって企画を考えていきました。

その時点で私は社会人になっており、12月開催を初めの頃から予定していて期間も短かったため、これ今の状況でできるのかなぁとその頃は結構心配していました。

ただ、何度か話し合ううちに、誘われた頃と自分の状況も変わったことを伝え、今回は初回開催で期間も短いことも考慮して、最低限ポスター発表に必要なものがそろったワールドを作ろうという方針で進めることになりました。

ワールド制作の準備

まず、ワールドをどんなコンセプトで作成するか、最低限ワールドに必要なものは何かという部分から考えていくことにしました。(同時並行で、ワールドに設置するポスターのサイズや見やすいフォント、サイズなどのフォーマット決めも行なっていました。)

ワールドコンセプトに関しては、実際にリアルの学会がどんな会場で行われているかの調査なども行いましたが、Blenderでゴリゴリワールドのモデルを作れる人はいませんでしたし、AssetStoreでそれっぽいものを探す時間も中々取れない状況だったのであまり参考にせず、ひとまずUnityのデフォルトの素材でプロトタイプを作って、そこから余裕があれば色々追加していこうという事になりました。(まぁ結局余裕なかったですがw)

ただ、ワールドを見にくる人の利便性や、発表者が発表しやすいワールドにしようというところは最低限曲げずに作ろうという事になり、発表者の発表のしやすい位置を考えたり、小さいアバターの人でも見上げてポスターを見なくていいように段差を準備しようといった事は最初の頃から検討していました。

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初期の頃考えたワールドに設置する段差の案

そういった話し合いを元に、ひとまず私やファルコさんで簡単なワールドのラフスケッチを書いて、ワールドのイメージを固めていきました。

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私の描いたワールドのラフスケッチ

ワールドのプロトタイプの作成とワールドのアップデート

そこから、まずは会場に貼るポスターの枚数や大きさなどの情報を元にUnity上で会場のプロトタイプワールドの作成を行いました。

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プロトタイピングしたワールド

そこからは、毎週行われているミーティングで運営メンバーに見てもらい、改善点やこんなものもあるといいよねといった要素をあげてもらって、毎週少しずつワールドのアップデートを行なっていきました。

フィードバックをもらっていく中で、最初はこんな感じでいいだろうなぁと思っていた事も、実際にワールドに入って触ってみるとやっぱり別の方法がいいんじゃないかという事も出てきて中々試行錯誤が大変でした。

ただ、個人的に会場は部屋というより、もっと開放感のある会場にしたかったので、屋根を外して空を見えるようにしたのと、マテリアルを木の木目のあるものにして教室っぽさを出した部分はこだわりポイントだったりします。

発表者のポスターと展示物配置

ワールドがある程度出来上がってきた段階で、提出されてきたポスターと展示物の設置を行なっていきました。

この段階になるとほぼ作業の状態かと思っていたのですが、配信の方でポスターサイズの問題などから別部屋を作ってそちらで配信を行おうという変更があったり、ポスターや展示物の方も変更が何度か入ったりと思った以上に他のタスクも入ってきて忙しくなっていきました。

リハーサルと最終調整

予定していたワールドがほぼ完成に近づいたところで、学会1週間前にポスター発表をする方たちと配信担当のおきゅたんさんと運営で当日のリハーサルを行いました。

すると、本番の流れを追っていく中でワールドの課題がまだあることが見えてきたり、展示物の不具合やポスターの入れ替えの必要が出てきたりと、調整が必要な部分がかなり見つかり、結局本番当日まで結構バタバタしていました。

本番

当日朝方に最終調整のタスクもなんとか終わり、昼頃に最終確認をしてなんとか本番に望むことができました。

その後、バーチャル学会本番も(途中トラブルはあったものの)大盛況のうちに無事終えることができました。

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感想と課題

色々と大変なことはありましたが、VRで学会やるにはどうすればいいかみんなで話し合ったり、ワールド制作自体も楽しくやらせていただいて、最終的にバーチャル学会2019は沢山の人に参加していただけた素晴らしいイベントになって自分としてはかなり満足しています。

ただ、やっぱり課題もまだまだ沢山あるなとは思っています。

ワールド制作に関しても、もう少しスケジュールに余裕を持って制作を終え、リハーサルもまだ早めに行えていれば調整等に割く時間ももっと余裕ができたんじゃないかなどなど...

来年2020年にもまた開催する予定なので、次回はそんな課題を見直して、さらにグレードアップしたバーチャル学会が開催できればいいなと思っています。

謝辞

最後に、バーチャル学会を企画してリーダーとして引っ張って下さったファルコさん、運営として一緒に頑張って下さったテトラリアンさん、signsさん、ハルさん、にしあかねさん、lcamuさん、はつぇちゃん、配信をして下さったおきゅたんさん、基調講演をして下さった皆様、ポスター発表をして下さった皆様、そしてバーチャル学会に参加下さった皆様に、この場を借りて感謝致します。ありがとうございました。